第3章 事件発生
『ようこそ ゲルテナの世界へ
本日はご???き 誠にありがとうございます。
当館では現在【ワイズ・ゲルテナ展】を
??しております。
ゲルテナ氏が生前描いた
怪しくも美しい絵画たちを
どうか心行くまで お楽しみくださいませ。
XX、XX、XX』
ふぅ、と深く息を吐いた。
1人で行動を起こしたことに、後悔をし始めた。
目の前の説明書きは、幼いイヴにはどうやら途中の漢字が読めなかったみたいだ。
ふと、隣を見るとそこには青色で描かれた少年が鍵盤がばらばらに描かれているピアノを練習しているらしく、その後ろには赤色の女性が教えている場面の絵だった。
目などのパーツが一切描かれていないため少しだけ怖いと思ってしまった。
『悪意なき??』
題名を見てみるのだが、やはり難しくて読めずにいた。
やはり母親とともに行動した方がよかったのだろうか・・・
振り返り、まだ受付付近で話し込んでいる両親を見て、イヴはその思考をすぐに掻き消した。
母親がこのゲルテナの作品を観るのを楽しみにしていたことは一番わかってる。
だからこそ、父親が休みを作り連れて来てくれたことを幼いながらにも気づき、邪魔をしないようにと視線を真ん中へとズラした。
(今日は、夫婦水入らずで過ごしてほしいな…)
目の前に広がる地面いっぱいに深海の様子が描かれている絵を見ながら、広大な絵だと息を飲んだ。