第36章 キャンディ
自分のバラを取り返してきてくれたこと、目がついている部屋にマネキンだらけの部屋。
それに・・・
赤「イヴが倒れた時にあげたよな、キャンディ」
「あ・・・」
ポケットにはレモン味のキャンディが入っていた。
そして思い出した。
そうだ、自分は目の前にいる青年とあの恐怖の中頑張ってきたではないか
「征君・・・!」
イヴは赤司へと抱きついていた。
赤司はそれをやさしく受け止めた。
ぎゅうと抱きついてくる彼女に赤司は満足そうな笑みを浮かべた
赤「無事に戻ってこれたな・・・
もっといろいろと話をしたいが、オレはそろそろ部活に行かなきゃいけない
それでイヴ・・・
このハンカチ、もう少しだけかりてて平気か?
このまま返すのはさすがに申し訳ない
ちゃんと、綺麗にしてから返す
だから・・・また会おう」
赤司はそれだけ言うと、この場から去って行った。
母親たちと合流したイヴは、帝光中へ行きたいと初めて自分から意見を出したのだ。
母親は目を見張り、父親はそんなイヴに満足そうな笑みを浮かべていた。
自分から意見をあまり言わない少女に二人はこの美術館でなにがあったのだろうかと思う半面、ここまで言えるようになった彼女の意見を尊重するということになり、イヴの進学先は帝光中へと決まった。
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