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ただの仕立て屋な私は紅覇君に誘拐されました

第9章 ヤキモチ


「紅炎様からの命令だ!!シェリー様が居なくなられた!!直ちに探し出せ!!どんな手を使ってもだ!!」

「はッ!!」

それを近くで聞いていた僕と明兄は、目を見開き口をぽかんと開けていた。

「シェリーさんが…居なくなった…」

第一声を発したのは、明兄だった。

僕は何も言えずに俯いている。

何を隠そう、シェリーが脱走したのは、僕が原因だからだ。

そんな僕が、今更何を言うというんだ。


すぐに連れ戻す?

いや、連れ戻してどうする。

もう一度会って、話をする?

こんな状況で何を話せというんだ。


どちらにせよ、僕はもうシェリーに会うことすら許されない。

会う顔がない。

「…紅覇?どうしたのです、浮かない顔をして。…何か、心当たりがあるのですか?」

鋭いことを言うもんだ。

「えっ、そんな浮かない顔してた?ただ、考え事をしてただけなんだけど…。」

「ほう…?紅覇が考え事なんて、珍しいですね。何かあったのですか?









………シェリーと。」


「!…いつから気づいてた?」

「貴方が俯いている辺りからですかね。」

自然と、きょとん、という顔になる。

「…ははッ……やっぱり明兄は鋭いね…」

「おそらく、兄王様も気づいていらっしゃるでしょう。」

だって、いつもの紅覇なら真っ先にシェリーを探しに行くか兄王様に問い詰めるはずです。

紅覇がシェリーのことに関して食いつかないわけがない。

そう付けたして、薄く笑った。

「…あはは…参ったなぁ…。」

頭を掻いて呆れ笑いをする。

「…紅覇。」

グイッと胸ぐらを掴まれ、鼻がぶつかるかぶつからないかくらいの位置まで引き寄せられる。

「…」



「……いつまでも、甘えるな」
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