第3章 一つ合宿所の屋根の下
「僕は鳥養君みたいにアドバイスも出来ないし、練習メニューも考えてあげられない。だからこそ、僕がみんなに手伝ってあげることは何でもしたいんだ。だから気にしなくて良いんだよ」
先生は柔和な笑みを浮かべて語った。先生のその気持ちは、私も覚えがあるものだ。
「私も、同じです」
「えっ?」
「私も、みんなの為にしてあげられること、少ないです。だから、私が役に立てることなら、何でもしたいです」
先生は私を見詰めたまま沈黙するが、すぐにフフッと笑い声を零す。
「じゃあ、一緒に頑張ろう!瀬戸さんも料理作るの手伝ってくれる?」
「! はいっ」
威勢良く返事をすると、先生はまた眩しい笑顔を見せる。
「って先生これ以上何作るんですか?!」
「え!?」
すでに出来上がっているのは焼き鮭、玉子焼き、きんぴらごぼう、筑前煮にお味噌汁、ってよく見たら豚汁だ。割と手間のかかる豚汁をこなすなんて普通思わないっすよ……。
しかもどれも美味しそうである。これだけの品数を大人数の分作るだけでも大変なのに、さらに品数を増やすなんて主婦の鑑か。
……私も見習おう。