第3章 一つ合宿所の屋根の下
「その日は風も吹いてなかったし、ブランコの動き方が風が吹いて動いたような動き方じゃないんです。人が乗ってるみたいに綺麗に真っ直ぐ動いてるんです。
あまりの出来事に動けないでいると、お母さんが何も言わず私を引っ張って、走って家に帰ったんです。家に着くとお母さんは台所から塩を持って来て私と自分にも塩撒いたんです。お母さんに、『何があったの?』って聞いてもその時は何も答えてくれませんでした。
でも、最近になってその事を思い出して、お母さんに聞いたんです。『あの時どうして急に引っ張って家に帰ったの?』って聞いたら、『ああ、あれね。・・・どうしても聞きたいの?』って言うんです。そんな言い方するんで、ちょっと怖かったんですけど、『どうしても聞きたい』って言いました。お母さんは、『分かった。まあ、昔のことだから言ったって良いか』って言って話し始めました。
『あの時、ブランコ動き始めたのは覚えてるよね?ブランコが動き始めた時、女の子がこっちを見たの。そしたら、その子ね、
───両目に釘が刺さってて歯をむき出して笑ってたの』」
──────フッ
「「「わああああああああああああああッ!!」」」
「きゃあああああああああああああッ!?」