第3章 一つ合宿所の屋根の下
「よっしゃー!!すげーぜ影山ぁ!!」
「ふん、当然だ」
両サイドに座る二人は花でも飛ばしてるんじゃないかってくらい喜んでいる。私が座るだけで喜んでくれるのは嬉しいんだが…
「負けた、負けた…龍すまねぇ……!」
「ノヤっさんアンタ充分戦ったよ!!俺の分まで戦ってくれたんだ!!顔を上げてくれノヤっさん!!」
「大地顔死んでるべ!!その顔ヤバイって!!」
怪談始まる前から悲惨な事になってるんですが。日向の左隣に座る月島さんが呆れ顔で溜息を吐き出した。
「何なのこれ。怪談するんじゃなかったの?ていうか座るとこぐらいで騒ぎ過ぎデショ…」
「う、うーん…みんな瀬戸ちゃんの隣にどうしても座りたかったんだね…」
「そーいう山口も座りたかったんじゃないの?あの人達が誘ってる最中そわそわしてたみたいだけど?」
「ツ、ツッキー言わなくていいから!!」
このコンビも私を羞恥心で死なせる気なのだろうか。
────しばらくお待ちください────
「じゃあ場も落ち着いたことで、始めるか!」
「何事も無かったように始めるのか…」
パンと手を打ち合わせて宣言した主将に、東峰先輩はぼそりと呟いた。それ言っちゃだめです。
「ヒゲチョコの発言は無視してだな、今から簡単なやり方を説明するぞー」
恨めしそうな表情で睨む東峰先輩を、完璧なスルースキルを発揮して無視する主将は柔和な顔付きである物を取り出した。それを見て、スガ先輩は言葉を零す。
「サイコロ?」
「そ、サイコロだ。これに全員の名前が書いてあるんだ。このサイコロを振って、名前が出た人が怖い話をするってことだ。まぁ、要はすべらない話方式だな」
「じゃあ星マークもあるんすか?」
「もちろんだ!」
西谷先輩の問いに主将は得意気な笑顔を浮かべる。
「話したい人がいれば挙手してもらう。もしいなかったら俺が指名する!以上がルール説明だ。何か質問は?」