第3章 一つ合宿所の屋根の下
* * *
「瀬戸連れて来たっスよー!」
「お、お邪魔しますっ…」
上機嫌で戸を開け放った西谷先輩は大声で皆に声をかける。皆は、広い畳に敷き詰められた布団の上で円になって座っていて、準備万端という感じだ。
「おっ───!!瀬戸やっほ────!!」
「おっす瀬戸!待ってたべー」
やはり夜も元気いっぱいな日向はブンブン手を振って迎えてくれる。田中先輩と西谷先輩も円に加わり、腰を降ろした。私はどこに座って良いんだろうかと考え始めると、救いの声が飛んでくる。
「なぁなぁ瀬戸!おれと影山の間座れよー!」
「え、え、い、良いの…?」
無垢な笑顔で誘ってくれた日向は、自身と影山さんの間をぽんぽんと叩いて示す。影山さんもこくこくと幾度も頷く。結構びっくりだし、照れるが、円のどこかには座らないといけないのは確かなのでお邪魔しようと二人の近くへ向かう。
「おいおい抜け駆けだぞ速攻コンビめ!!瀬戸!!俺と龍の間来い!!」
「え、えぇッ……!?」
「ヘイカモン瀬戸!!俺とノヤっさんの間に飛び込んで来い!!」
ばふばふばふと二人揃って隙間を連打し始める。
「何ですかー!同じ1年同士で座るのが一番じゃないですか!!」
「俺もそう思うっス…」
日向はぷんすかと反抗し、影山さんも不機嫌そうな顔をし、静かに威圧を放つ。
コレ何テ乙女ゲーデスカー?ドコ産?ドコ産??
だめだ現実逃避なんかになりゃしない。顔が真っ赤になっていく。どうしようホントに照れる。主将何とかしてください死にそうです。
「おいお前ら喧嘩すんなー!」
主将!さすがですよ主将!やっぱ主将ですよ!!
「それ以上喧嘩するなら間を取って俺とスガの間に座らせるッ!!」
主将!!!!!(白目)
菅「瀬戸こっち来るべー!」
日「瀬戸おれんトコ来い!!」
田、西「「いや俺らんトコに!!」」
澤「瀬戸!こっちだ!!」
どうするべきか分からなくなった 脳は何も考えられず、口からポロリと言葉が零れる。
「じゃ、じゃんけんで…」
困ったら運の神様に頼みましょう。そうしよう。