第3章 一つ合宿所の屋根の下
口々に叫びながら背後に視線をやると、どこか見慣れた姿が佇んでいた。
「? 何騒いでんだ。大地さんに怒られるぞ」
「えっ?えっ…?」
「……」
「? …あれ。どっかで見たことある人…?」
そこに居たのは西谷先輩だった。完全に幽霊だと思っていた為、間の抜けた言葉しか出てこなかった。田中先輩は半ば呆れた表情を浮かべており、日向は誰か理解出来ていないようだ。何で気付かないのだ日向よ。田中先輩は驚き損じゃねぇかと言いたげに日向の頭をスパンと叩き、日向に一喝する。
「ただのノヤじゃねーかバカヤロウ!何が“子供”だ同じくらいの背ぇしてるクセに」
田中先輩オブラートに包んでください。二人分包んでください。
「えっ、ノヤさん…?でも、ノ…ノ…」
ノ?
「ノヤさんの身長が縮んだ恐いいいいいいいいいいいい!!!」
「ブハッ!!」
「ブフゥッ…!」
田中先輩の吹き出したのに釣られ、我慢出来ず私も吹き出してしまった。日向、最高。
「やめろブフッ、お前ウククッ、まじ・・・・やめとけってブヒャ─────ッッ!!」
「龍てめえええええええ!!笑ってんじゃねえぞコラァッ!!2人まとめて歯ぁ食い縛れえええええええええッ!!」
「ぎゃあああああああ!!何で俺らだけええええええええ?!瀬戸だって笑ってたじゃねぇかああああああああああ!!」
「そんなん瀬戸は良いからに決まってんだろが!!
良いから二人共そこに直れえええええええええ!!」
「「ギャアアアアアアアアアアアアッ!!」」
西谷先輩はそう言い終わると同時に鷹の如く跳躍した。二人の断末魔が響き渡ると、西谷先輩の攻撃が開始される。
「あいたたたたた!!ノヤいてぇって!!」
「うわあああああああ田中さんがおれの所為でえええええええええ!!」
「おいお前らうるせぇぞッ――――!!!」
「「「ワアアアアアアアアアアアアアアアア!!」」」
烏野ファザー登場によりさらに阿鼻叫喚は悪化しましたとさ。めでたしなんて無かったんや。