第3章 一つ合宿所の屋根の下
「瀬戸だってもう大きな存在だろノヤさん!」
「もちろんだ龍!瀬戸が来てから潔子さんの笑顔も拝めるようになり、さらに潔子さんの存在により瀬戸も笑う…!素晴らしいサイクル…!」
ううっとノヤさんが目頭を押さえる。俺も貰い泣きしそう。
「確かに瀬戸ちゃん、可愛いよなー…」
「なー。笑うとなお かわいいよなぁ」
木下と縁下は噛み締める様に呟いた。風呂の熱さなのか何なのか頬が赤くなっている。
そういや瀬戸が笑った時、他のメンバーも見惚れてた。あの月島もじっと見てたくらいだ。あれは潔子さんもいたのもあるだろうけど、確実にあの笑顔見て瀬戸のこと気に掛けるやつ、出たよな。
それは、なんかなぁ…。
「ん?どーしたよ龍。難しい顔して」
「ん、ああ、いや!ウチの女神二人が音駒のやつらに狙われたらどーするって思ってよ!」
「あぁっ!!それは対策が必要だよな!!悪い虫を付けないようにしねーと!!よし!お前ら三人も考えろよ!!」
縁、木、成「「「えっ!!!」」」
─────現在
何てことがあったけど、瀬戸の反応見る限り聞こえてなさそうで、そこは安心だ。
てか思い切って誘ったけど、俺何しゃべるとか全然考えてねーし!ノープランだよどーするよ!!瀬戸男子苦手らしいけどめっちゃ冷静じゃね!?俺だけ緊張してて何か恥ずかし、
違う。
隣を歩く瀬戸を見て、俺の馬鹿な考えは一瞬で捨てた。ていうか消えた。何考えてんだ俺。
震えてんじゃねぇか。
断ったら悪いと思って付き合ってくれたんだろうな。男子苦手なのに、頑張って今一緒に探してくれてんだな。誘ったの俺なのに、何テンパってんだよ。落ち着け俺!!せっかく瀬戸と二人きりなんだぞ!!
頑張れ俺!!!
「瀬戸も疲れてんのに、悪いな付き合ってもらって。後でジュースでも奢るわ!」
「え?そんな、良いですよ!」
「遠慮すんなって!ジュースくらい良い、」
「この部の皆さんには、貰ってばっかりなんですから!」