第3章 一つ合宿所の屋根の下
* * *
「うっほ─────ッ!!めっちゃ美味しそ─────ッ!!」
「……!」
「さー!!みんな座ってー!ご飯食べるよー!!」
色鮮やかな野菜が大皿に華やかに盛り付けられている。赤いトマトがキュウリやキャベツの色合いを引き立たせ、食欲を煽る。そのサラダを持ちながら眩しい笑顔を浮かべて、皆に座るよう呼びかけているのは癒しの貴公子武田先生である。びっくりするくらい三角巾とエプロンが似合ってます先生。
大き目の卓上には温かな湯気を上げるカレーが並んでいる。元気いっぱい感激の声を上げ、その隣の影山さんもどこかキラキラした目で驚いてる。そんな良い反応されると潔子先輩と頑張って作った甲斐があるな。
武田先生にも結構手伝ってもらっちゃったのは申し訳ないけど、先生のエプロン姿見れたのはとてもナイスだった。
田中先輩と西谷先輩も到着し、卓上の食事を無表情でまじまじと見詰めたかと思うと、西谷先輩の口元がもそりと動いた。
「こ、これ、潔子さんと瀬戸が……?」
「あ、はい。まぁ、そうです。でも、」
──────ぶわっ
「??!!」
突然田中先輩と西谷先輩の二人の瞳から滂沱の涙が溢れ返った。あまりの出来事に私の言葉の続きは喉の奥へと引っ込んでいった。
「ノ、ノヤっさんんん~~~!俺、いっ、いっ、生きてて良かったぁ~~~……!」
「俺は、この時代に生まれてホントに良かった~~~!」
感動の規模が途轍もなく大きい。
カレーはほとんど武田先生が作ってくれたんだけど、知らぬが仏か……。それはそれでまたぶっ倒れそうなだもんな。
スガ先輩がえぐえぐと嗚咽を漏らして泣く二人に駆け寄ると、困った様な笑顔で二人の背中を擦ってあげて席に着くよう促す。スガ先輩マジ紳士。
「え、え~っと、良いかお前らー……?」
戸惑いながらも、主将は手を合わせた状態で、合掌の挨拶をして良いかと皆に問い掛ける。まぁ、主に主将の視線は泣きながら手を合わせる二人に行ってたんですが。
「よし!じゃあ、いただきますッ!!」
「「「「いただきますッッ!!」」」」