第2章 1.
出口に出ると、3人の男の人がいた。
その中にさっきの人もいる!!
その人のところに向かって頭を下げながら、とりあえず説明する。
サキ「あのっ…ごめんなさい、トイレ、急いでて、その、男女間違えて、それでえっと……。」
あああ、テンパりすぎてうまく言えない!!
それを見かねたのか、トイレの人の横に立っていた泣きぼくろの目立つかわいい男の人が、
?「ゆっくりで大丈夫だよ!!
トイレ間違えちゃったんだよね?それで、トイレ出たら宮田がいて、びっくりしたんだね!!なるほどなるほど!!」
サキ「そうです、そうなんです!!ごめんなさい…。何だか騒がしくしてしまって…」
?「俺の方こそさ…ノックなんかしてごめんね…。
ちょっと泣き声が聞こえてさ…。
ちょっと大丈夫かな〜とかさ、思って…お節介やいちゃった…。」
泣き声!!
聞こえちゃってたの!?
だからノック…!うわああ恥ずかしい!!
サキ「余計ごめんなさい…。
もう泣き止んだので…。大人しく帰りますね…。
すみませんでした…。」
へらっと笑ってみせると、泣きぼくろの人と、トイレの人は心配そうな顔を浮かべてる。
その顔を見なかったことにして、お辞儀をして反対を向いて歩き出そうとした時、腕を掴まれた。
振り返ると、今まで一言も話さずに下を向いていた男の人だった。
手を掴んだまま、じっと私を見つめている。
下を向いていて、暗くて見えなかった顔に光が当たってよく見える。
白くて整った顔。
私…この人を知ってる。
?「なんで泣いてたの?そんなに赤くなるくらい泣いたんでしょ?どうしたの?」
サキ「た…玉森くん…?
そんな、話すようなことでもないので…。」
初対面の人に涼太とのことを話したって…。