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ヒマつぶし

第2章 天使の前世


「雪....降ってきたね。」

ふと上を見上げ、嬉しそうな顔をした愛姫。
つられて上を見る。

「本当だな。」
「綺麗....。」

二人して上を見上げながら歩いている光景は、傍から見れば変な奴らにしか見えなかったろうな。

「明日....散歩行くか。」
「どこに行くの?」
「....公園?」
「雪積もってるといいね。」

そんな事を話していた。

愛姫の家に近づき、何となく辺りを見回した。
割と田舎だからいつもこの時間帯は道に人がいない。
が、正面に珍しく人影を見つける。

「....。」
「....椎名?」
「あ....悪い、どうした?」
「それは私のセリフ。どうしたの?」
「や....珍しく人が歩いてるなー、と」

正面を指さす。

「本当だね....、近所のお婆さんかな?」
「....にしては背高くねえか?それに....」

歩き方がおかしい。
歩いてるというか地面を滑っているみたいで、頭が上下しない。
どんどん近づいてくる。
街灯の下を通ればわかるかと思ったが

そいつは足がなく浮いていた。

歩くと言うより空中を滑っている、そんな様子だった。

距離が縮まるにつれ、少し恐怖を覚えた。

それは愛姫も同じだったようで繋いだ手を強く握り、身を寄せた。

段々と近づいてくるが顔はハッキリとわからない。
ただ黒い人影の頭の部分に、三日月をえがいた口があるだけ。

恐怖で足が動かない。

そしてソイツは俺たちの目の前で止まり
口端を釣り上げた。


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