第1章 作戦会議、但し相手は
「水戸部さー、告白しねーの?」
「!?」
部室へ向かう途中の小金井の唐突な発言に、水戸部は思わず挙動不審になる。
「いや全裸でとかじゃなく」
フォローなのかそうでないのかわからない一言に、ぱくぱくとフナか金魚のように応えるので精一杯。
「えー? いきなりとかじゃねーよう。いい加減見ててイライラすんだよ。なんでってお前中学ん時からじゃん。へ? バレバレだって」
周りから見ると小金井一人で喋り続けているようだが(まあ実際そうなのだけれども)多少慌てた様子の水戸部の反応を見るに“会話”は成立しているようだ。
「何話してんだお前ら」
「日向、伊月。木吉に土田も」
そこへ声をかけてきたのは二人と同じバスケ部の二年生達。彼らは水戸部と小金井の不可解な意志疎通にも若干慣れているので、すんなりと話に混ざってくる。
「水戸部に好きな子にとっとと告白しちゃえって言ってんだけどさー……」
「はあっ!?」
そして、食い付く。
「マジか水戸部お前好きな子いんの!?」
「誰々? うちの学校か!?」
「知ってるやつ!? 俺知ってるやつ!?」