第5章 恋の始まり
~自宅~
恋…なの?
胸が苦しい…
(そ、そうだ…カエデにメールしなきゃ…)
『カエデへ
今日はごめんね。
実は殺せんせーに相談してみてから言いたかったの。
でも教えてもらえなかったんだ。
それで、私が悩んでいた理由なんだけど…
直接話したいな。
明日、朝話そう?
ののより』
(よしっ…)
やっぱり怖かった。
自分が赤羽くんに恋をしているなんて。
本を読む限り恋愛をしている人は苦しそうだった。
それに今、実際苦しい…
ずっと心臓がうるさく脈打っている。
胸が痛い。
頭から赤羽くんの赤い髪、赤い瞳、そしてあの優しい顔が離れない。
耳からは優しい赤羽くんの声が繰り返し囁かれている。
(うるさい、もぉ…何?…恋なんかじゃないんだってば!)
そんなことを思っても脳は言うことを聞いてくれない。
(やめてよ…)
何故か自然と涙が出てきた。
(つ、辛い…赤羽くんに会えば治るよね…早く来て…)
「赤羽くん…」
口に出した瞬間さらに鼓動が早くなった。
「っ!!」
うそ…
これは恋なんかじゃない!
「カ、カエデェ…」
誰もいない部屋でカエデの名前をつぶやく。
「――ピロリィン♪」
スマホの着信音が鳴り響いた。
「カ、カエデ…?」
急いでスマホを見るとカエデの名前があった。
『ののちゃんへ
殺せんせーに相談したんだ。
明日…分かった。
朝話そう?
カエデより』
カエデの優しさにさらに涙が出た。
私のわがままを受け入れてくれた。
さらに胸が苦しくなった。
ダメだ…そうだ、電話しよう。
「――ピロロロロ・・・×2」
「もしもし?ののちゃん、どうしたの?」
「カ、カエデ…ごめんね…」
「え?!ののちゃん?!…泣いてるの?」
こんな私のこともカエデは本気で心配してくれる。
「ごめん…でも…助けて…」
「何があったの…?」
(すべて話そう…)
私はカエデにすべて話した。