第4章 殺せんせー
~放課後~
あれからカエデと話していない。
やっぱり気まづい。
いっそ話してしまおうか?
いや、まずは殺せんせーに聞いてみるのが先決だろう。
(あっ、殺せんせー行っちゃう…)
「殺せんせー!」
「おや、市ノ瀬さん。どうかしましたか?」
「はい、実は相談したいことがあって…」
「なんでしょうか、先生が力になれるようなことであればなんでも言ってください。」
「実は…」
私は先生に私の今の心の状況を言った。
「ふむ…」
「どうですか?何か分かることがありましたか?」
「分かることには分かりました。」
「本当ですか?!」
モヤモヤが解決されるのだと私は喜んだ。
「ですが、君の今の心の状況を私の口から言っても意味がないですねぇ」
「どういうことですか?」
「私が君に教えてしまっては意味がないのです。例えば数式でやり方を教えず答えのみを教えてしまうようなものです。」
「…なるほど、わかりました。でもなんで意味がないのですか?」
「さぁ?」
先生はニヤニヤしている。
「自分で考えろと…わかりました…」
「わかったらぜひ教えてくだい。答え合わせをしましょう。」
「…はい」
普通に落ち込んだ。
モヤモヤが晴れると思ったのに…
そして私は教室をあとにした。
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私はいつも通り本を読みながら帰っていった。
今は恋愛ものを読んでいる。
タイトルは『自分の気持ち』というタイトルだ。
内容はとある男の子に暴漢から助けてもらってそれからどんどん恋愛へと進展していくという結構ベタな内容だが、面白い。
(…ん?)
本を読んでいて、ふと止まる。
(これって…)
主人公の女の子の気持ち。
『羽瀬川くんのことを何故か意識してしまう…。
何故か無意識に彼を求めてしまう…。
会いたいよ…そして…話したい…。
モヤモヤするよ…この感情…恋?』
えっ…
――恋?――
今のこの子の気持ち、私と同じだ。
私は恋をしているのか?
そう思った瞬間鼓動が早くなった。
恋…か