第8章 死んじゃったら悲しむ人がいる
ーーー『キスできる?」ーーー
耳を疑った。
あの赤羽くんが。
私の好きな、ずっと話したいと思っていた赤羽くんが。
私は頬を真っ赤にして思わず下を向いた。
「ののちゃん、恋愛の経験ないでしょ?」
「っ!///」
赤羽くんはニヤニヤしてこちらを見ている。
(な、なんでそんなこと知ってるのぉ〜…///)
「えっあ、あの…///」
「ね?無理でしょ?」
さっきの少しふざけた声とは違い、鋭い声音へと変わる。
「……いいの?赤羽くんは」
「うん、もちろん。男は別にファーストキスとか気にしないからさ」
またおどけたような声音へと変わった。
「じゃ、じゃあ…///」
私はゆっくりと赤羽くんに近づく。
(これは証明のため、これは証明のため、これは証明のため)
自分に暗示をかけ頑張って足を地面に踏みしめ、歩く。
「ははっ、ののちゃん。手と足一緒だよ?w」
お腹を抱え赤羽くんは笑っている。
「はうわぁ!あ、ぁ〜…///」
恥ずかしくて下を向く。
「ふっ…その気持ち、十分伝わったよ。おまけで証明されたってことにしてあげる」
そういうと腰を屈め、
私の唇にそっと優しく自分の唇と重ね合わせた。
「んじゃ、渚くん。帰ろうぜ」
渚くんは声に気がつき慌てて赤羽くんの後を追った。
殺せんせーは赤羽くんの言葉はすっかり聞こえておらず唖然としている。
私に関してはもう死んだのかと思った。
天国に召された気分だった。
その後にカエデがたまたま通りかかってくれて私たちを現実に戻してくれた。
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〜カエデの部屋〜
「えぇ?!うそ?!そんなことがあったの?!」
私はカエデに今回のことを話した。
「う、うん…///多分…」
「多分って何よ〜!」
お菓子をポリポリ食べながらカエデ目を輝かせている。
「いや、現実か妄想かわかんなくて…」
「現実に決まってるじゃない!だって
ーーピロリィン♪
「ほらまた来た」
スマホの画面を確認すると『渚くん』と書かれている。
メールの内容は
『え?ってことは付き合っていないどころかまだ告白すらしていなかった状態だったの?
カルマくんからもされてなかったっだよね?』
っと書かれている。
「でもよかったね!ののちゃん!」
「う、うん///」