第5章 仕置きもの
『ん…んん。』
窓から差し込む日の光で目がさめる。今日の天気は快晴だろう。
『……あれ…?ここ、ソファ…私…』
意識がはっきりしてくると、どこからか朝食のいい香りがするのがわかる。それと同時に、昨晩はリビングでそのまま眠りについてしまったことを理解した。
(…ん?リビングのソファって…!!)
ガバッという効果音がぴったり当てはまりそうな勢いで起き上がると、キッチンに立つ彼と目が合う。
「起きた…?おはよ。」
『…おはよう…っじゃなくて!!ごめんっ、私ここで寝ちゃって…』
「俺はどこでも寝られるから、気にしないで。それより朝ごはん…できたから、食べて。」
キッチンのカウンター前のテーブルを見ると、食欲をそそられる料理の数々が並べられている。
寝巻きのまま席についた私は目の前に出されたコーヒーに少し眉をひそめる。
「…もしかして、何か嫌いなもの…あった?」
『えっと…苦手…というか、コーヒーがちょっと…』
「コーヒーメーカーはあるのに、コーヒー…苦手なの?」
彼が不思議そうな顔をするのも無理はない。私は確かにコーヒーが苦手だ。しかし、カフェオレは好きなためコーヒーメーカーとともに牛乳も常備してある。
『カフェオレが好きなんだ。』
そう言うと、彼は合点がいったようでスティックシュガーと冷蔵庫から冷えた牛乳を出してきた。
「だからいつも牛乳が冷蔵庫にあるんだね…。」
『うん、ありがとう。』
今日は彼がちゃんと起きれたようで安心した。また昨日のようになっては私も困る。
エプロンをとった彼が席についたところで朝食が始まった。彼の手料理で幸せを感じた私は、今日も頑張れそうだ。