第11章 証明(リヴァイside)
壁外で巨人と遭遇した時、エミの目はいつも皆に見せる目では無かった。
何故あんなに殺意が篭った目になるのか…
そして見た目からは想像出来ない戦闘能力。
過去に何かあったのは間違いない。
前回の壁外調査の後、極秘にエミについて調べたが何の手がかりも得られなかった。
きっと王政によって隠されているのだろう。
そこまでして隠す様な過去があるのか…
そう考えながらもリヴァイは指輪を戻してペンを走らせる。
とりあえず今はこの軟禁状態から解放されたい。
「リヴァイ、悪いが飲み物を取って来てくれないか?」
「自分で行け」
「リヴァイが淹れた紅茶は美味しいんだよな~」
「チッ…」
リヴァイは舌打ちをしながら紅茶を淹れる為に立ち上がった。
こんな事になるならエルヴィンの弁当もきちんとした物を作るべきだったと少し後悔したが、今更遅い。
淹れたての紅茶を2人分用意しカップを1つエルヴィンに渡すと満足そうにエルヴィンは一口飲む。
「どうやったらこんな美味しく淹れられるんだい?」
「昔知り合いに教えてもらった」
「そうか。
エミと君が淹れる紅茶はどっちが美味しいんだ?」
「あいつのも悪くないが俺の方がうまい」
「それを聞いたらショックを受けるだろうね」
微笑みながらもう一口飲んでまた書類を書き始める。
リヴァイは紅茶をゆっくりと堪能するように飲んでいた。
コンコン…
ドアがノックされ返事をするとハンジが勢いよく入ってきて、後ろからミケも入ってきた。
「頑張ってる~?」
「お前も手伝え」
「了解!」
ハンジが素直に了承したのを聞いてリヴァイは驚いた。
「演習監督はどうした」
「あ~モブリットに任せたよ」
笑いながら話すハンジの様子を見て呆れる。
「だってさ、今日中にこの書類を片付けないといけないんでしょ?
だからミケも連れて来たよ!」
「そういう問題じゃねぇだろ。
お前、モブリットを何だと思ってやがる」
「部下だけど?」
気にする素振りを見せずに普通に答えたハンジと黙って立っているミケにそれぞれエルヴィンは書類の束を渡した。
「助かるよ」
エルヴィンが微笑んで言うとハンジは受け取るや否や椅子を2人分持ってきて机の前に置く。
「狭い」
リヴァイは少しイライラしながら言った。