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第5章 面影


リヴァイは黙ったままだが顎で椅子に座るよう促してきた。

リヴァイと前に座ると淡々と話し始めた。

「お前が強いのは入団してから知っている。
何を思って首席であったのに調査兵団を選んだのかも大体予想はついている」

エルヴィンの執務室に行く前に淹れたのであろう冷めた紅茶を飲みながら。

エミはリヴァイを見つめていたがリヴァイは窓の外を見ており視線を合わせようとしない。

「お前の戦い方はあいつと似ていた」

「...似ていた?」

「お前の父親だ」

そう言うとリヴァイはエミを見た。

「完結に言う。
父親も危険な平地で馬から降り、ブレードを逆手に持って巨人共を倒していった。
つまりお前と同じ事をした。
そしてお前と違う所は...」

更に鋭い目線になった。

「あいつは精神が崩壊した。
巨人を殺す際の記憶があったがその後目の前にいる仲間が巨人に見えたらしい」

「仲間が巨人に見えた?
だから仲間を殺したのですか?」

「そういう事だ。
お前の場合...
巨人がいない時は普通の兵士の目をしているが、巨人の姿を見た瞬間一気に殺意を芽生えさせる」

確かに記憶の断片を辿ると覚えているのは巨人がいない時だけだ。

「1つ聞く。
お前にとって巨人は何だ?」

そう聞かれ当たり前の言葉が頭をよぎった。

「人類の敵以外ありません」

「そうか...」

リヴァイは部屋の奥で温かい紅茶を淹れるとエミにも渡してきた。

それを受け取り暫く冷ます。

「お前は人類の脅威になるかもしれん。
その時は俺はお前を殺すかもしれないが自分で自分を制御する事が出来るか?」

「出来ます」

「そうか」

リヴァイは立ち上がり、エミを後ろから抱き締めた。

「お前が交戦時の記憶が無いと分かった以上報告書は書けねぇだろ」

「そうですね...」

「俺が免除してやる。
その代わり...」

リヴァイは抱き締めたまま続きを話す。

「仕事が片付いたら結婚式でもするか」

「結婚式!?」

エミは振り返ってリヴァイを見るとさっきまでの上司の顔はそこには無く、いつもの優しいリヴァイに戻っていた。

「不満か?」

「そんな事ありません!」

「なら問題ないな。
明日にでもエルヴィンに言うか」

「はい」

ニッコリと笑顔を見せるとリヴァイも笑顔になった。
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