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第5章 面影


エルヴィンの執務室に着きノックをすると返事があったので静かにドアを開いた。

机がある場所にはエルヴィンとリヴァイが向かい合わせに座っていた。

もう1つ椅子が用意され、座るように促されエミは座った。

リヴァイを見ると眉間に皺を寄せて考え込んでいるようだった。

「丁度良かった。
今君について話してたんだよ」

ニッコリとエルヴィンは微笑み、話を続ける。

「君は巨人と交戦した際、何を考えていたんだい?」

「...分かりません。
巨人との戦闘の記憶が全くありません」

エミは頭を抱え込んで答えた。

「なら最初の奇行種3体の事も覚えてねぇのか?」

リヴァイに問いかけられ頷く事しか出来なかった。

「お前は奇行種に出くわした時、平地にも関わらず馬から降りた。
そして一瞬で倒した。
一体ぐらいなら出来る。
だが後から来た奇行種の倒し方は訓練では身に付けない倒し方だ」

「どういう事でしょうか?」

頭を上げリヴァイを見ると先程と変わらない表情でエミを見ていた。

「右手のブレードを逆手に持っていた。
あのやり方はかなり難しい。
兵団内でも俺しか出来ん」

「え...逆手...?」

エミは驚いた。

平地で馬から降りる事だけでも自殺行為に等しい。

それに加えてブレードを逆手に持った。

記憶が無い彼女にとって意味が分からない事だった。

「その様子だと本当に何も覚えていないようだね。
君は今までの壁外調査で巨人を倒した時の事を覚えいるかい?」

何も...覚えていない...

困惑しているとリヴァイがため息をつく。

「お前もか」

「リヴァイ、話すな」

「話さなきゃいけねぇだろ。
今以外に話す機会があるか?
お前だって帰還中のこいつを見ただろ」

エルヴィンの表情はもう笑っていない。

リヴァイはそんなエルヴィンを睨みつけている。

どういう事...
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