第14章 感覚
それから壁外に行くまでは主に立体機動をメインとした演習を行った。
体力は十分有り余っていたので走り込みは少しだけで済んだ。
監督がリヴァイで無かったのが救いだったが…
次々とエミが飛んで行く姿に兵士達は目を奪われる。
楽しそうに飛ぶ彼女を見ると他の兵士達も頑張って飛ぶがエミには追いつかない。
休憩時間になると主に監督をしていたハンジがやってきた。
「さすがだね~!
ガスも殆ど使ってないし、どうしたらそんなに出来るの?」
「あまり自覚はしていないんですが、アンカーの扱いにコツがあるんだと思います」
そう言うと近くに居た兵士達が話を聞こうと近寄ってくる。
「コツってどんな感じ?」
「そうですね…
とりあえず巨人が居ない場所ではなるべく遠くに刺して巻き取って…って感じしか説明できませんね」
苦笑いしながら答えるとハンジは考える素振りをした。
「それに関しては他の皆もそうなんだけどね…
でも結局はガスを使うよね」
「使いますが大体は勢いで前に進んでます」
「勢い?」
「ガスには限りがあるのでなるべくアンカーを巻き取る時の勢いだと思うんですが…」
「なるほど!」
ハンジは何か分かった様だ。
「そういえば格闘術でもエミは状況判断しながら最初の力で勢いをつけてそのまま当てれる相手にも攻撃してるね」
「言われてみればそうかもしれませんね。
でも私の格闘術は少し特殊ですよ?」
「確かにエミは訓練兵時代では習わない動きもしてる。
もしかしたらそれが立体機動を使って飛ぶ時の鍵になってるのかもしれない」
エミの動きをハンジが分析していると、リヴァイがいきなり現れた。
「エミ、今日の演習はここまでだ。
明日の計画の説明をするからエルヴィンの執務室に来い」
「分かりました」
そう言ってリヴァイの後ろをついて行きながらハンジの方を振り返るとまだ考えている様だった。
兵舎に入りそのままエルヴィンの執務室に向かうとリヴァイは立ち止まった。
「どうされました?」
「さっきエルヴィンと相談していたんだが、前に話した計画と少し変わっている。
一応覚悟しとけ」
「…覚悟…ですか?」
分からないでいるとリヴァイはそのままノックをせずに入ったので、エミもそのまま執務室に入った。