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第12章 策略(ヒロインside)


「団長…有難うございます」

そう言ってエミは敬礼をした。

「敬礼はしなくて構わない。
それより…」

団長はリヴァイを見ると呆れた顔で言った。

「リヴァイ、もう少し他に方法は無かったのか?」

「あれ以外方法があると思うか?」

無表情で答えるリヴァイに少し説教染みた言葉でエルヴィンは話した。

「エミへのサインの要求の仕方は大目に見るが、王を相手に同じように話すのはどうかと思うが…」

「あそこまでしないとサインしないだろ」

ため息をつきながらエルヴィンは答える。

「王は最後に『幸せになれ』と言った。
君とエミを結婚させたい気持ちがあった筈だ。
もう少し言葉をオブラートに包めないのか?」

「今更説教か?」

そのやり取りを見てエミは笑った。

「でも、先程の兵長の姿は素敵でしたよ」

「愛する人の行動は全て素敵に見えるものだよ」

エルヴィンは微笑みながら答えた。

「意外と短い期間で君を連れ戻す事が出来たのは驚いたなぁ。
まだ移籍の日は決まっていないが、今からやるかい?」

「はい?!」

エルヴィンの唐突な言葉に目を疑った。

「憲兵の兵服を着ている姿もなかなか良いが、やはり調査兵団の兵服のほうが君には似合っているよ」

そう言われてエミは顔を赤く染める。

「てめぇ、こいつを奪う気じゃねぇだろうな」

「いくら私でもそんな事はしないよ。
他人の婚約者を奪うような人間に見えるかい?」

「見える」

リヴァイが躊躇いなく答えたのでエミとミケは笑い、エルヴィンは苦笑した。

「さすがに婚約者がリヴァイなら奪えないよ。
後が怖い」

笑いながら話しながらエミのほうに視線を向ける。

「馬車を用意するから荷造りを始めてくれないかな?」

「分かりました。
でも王にはその事を伝えなくても良いのですか?」

「それなら承諾書に書いている」

そう言ってリヴァイは先程サインをした承諾書を見せてきたので受け取って眺めていると驚く内容だった。

『調査兵団兵士長リヴァイとの婚約を認める場合、速やかにエミ・ユベラを調査兵団へ移籍する事を認める』

「ある意味凄い内容ですね…」

「結婚を認めたからと言って直ぐに連れ戻せる補償はねぇからな」

そう言ってリヴァイは微笑んだ。
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