• テキストサイズ


第12章 策略(ヒロインside)


兵士と喧嘩した翌日、エミは朝食を済ませて王がいる部屋へと向かった。

見張りの兵士がドアを開けると王は何か考え事をしているよう顔で座っている。

「おはようございます」

「ユベラか。
目覚めはどうじゃ?」

「特に変わりはありません」

「そうか」

そう言うと王はまた考える様な仕草をした。

「どうかなされましたか?」

「今朝早馬で調査兵団の団長から手紙が来てんじゃが…
わしと謁見したいらしい」

「!!」

エミは驚いて目を見開いた。

「あやつが来るとなると側近であるお主とも会う事になるのぉ」

「失礼を承知して言わせて頂きたいんですが…」

「何じゃ?」

「もし謁見なさるなら私もその場に居させて下さい」

そう言ったエミを王は無表情で見る。

「理由でもあるのか?」

「特別な理由はありません。
ただエルヴィン団長の姿を見たいだけです」

そう答えると王は座り直して咳払いをした。

「わしはお主の事を信用しておる。
じゃが、謁見の際にお主がおると奴はまともに話すのか?」

「これはあくまで推測なのですが…
きっと団長は私の様子を見る為に謁見を申し出たのでは無いかと」

「なるほど」

エミが発言する姿を見ても尚まだ悩んでいる様だった。

「お主はわしの側近じゃ。
側近が居ない状態で会うというのも変に思うじゃろうな…」

王の言葉に対して何も言わなかった。

エミにとってこれは心理戦に近い。

ここで引き下がってはエルヴィンと会うのはいつになるか分からない。

「相手は警護も付けたいと申し出ておる。
心当たりはあるか?」

その言葉を聞いてエミは考えた。

警護するならそれなりの実力を持っていないとならない。

幹部の1人を連れてくる筈だが、まず婚約者のリヴァイは無いだろう。

ハンジも考えられるがそれよりも確実な人物…

「ミケさん…」

そう呟くと王は「誰だ」と聞いてきた。

「調査兵団第一分隊長をしており、兵士長に次いでかなりの実力者です」

「第一分隊長か。
そのような重要な幹部を連れてくる意味はあるのか?」

「ここでは調査兵団を疎ましく思っている人が大勢います。
もし何かがあればミケ分隊長なら対処できます」

エミは力強く答えると王は微笑んだ。

「謁見を認めよう」
/ 163ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp