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第2章 真実


「父の...事ですか...?」

「ああ、そうだ」

リヴァイはエミから目線を外さなかった。

それと同じ様にエミもリヴァイから目線を外さない。

聞かなければならない。

自分の父は壁外調査から無事に帰還した。

なのに数日後突然死んだ。

その死因を聞くのは今しかない。

「お前の父親は壁外調査中に仲間を殺した。
巨人がいないにも関わらずにだ。
それを見たのは俺とエルヴィンだけしかいない。
そして帰還してから自分を殺して欲しいと言ってきた」

お父さんが、仲間を殺した...?

あんなに温かくて優しいお父さんが...?

困惑しているエミを見てリヴァイは続ける。

「勿論仲間を殺した事実は揉み消す事は出来る。
だがそれが出来なかった。
あいつは自ら内地に行き、全て白状しやがった」

「...どうしてそんな事を」

「それは誰にも分からない。
だが反逆者としてあいつは審議に掛けられる事になった。
一応調査兵団の幹部だったからな。
理由を聞く必要があった。
そしてあいつは答えた。
娘には申し訳ないが自分が仲間を殺し、反逆者となれば娘は幸せになると...
そして、あいつは処刑された」

リヴァイの言っている意味が理解出来ない。

父の背中を見て違和感を感じたあの時、父は死ぬ覚悟が出来ていたのだろう。

そして、幸せになれと書かれた手紙。

父さえも居なくなり、どうして幸せになる事が出来るのか。

リヴァイの話を聞いていると涙が溢れてきた。

今朝見た夢はただの夢ではない。

実際にあった話だった。

そう考えただけで目に溜まった涙は収まる事が出来なくなり、そして頬を伝う。

それを見たリヴァイは涙で濡れたエミの頬を撫でると、そっと抱き締めた。

「悲しくさせてしまって申し訳ない。
だがこれを話すのは今が1番だと思った。
俺がお前を補佐役に提案した理由は...」

リヴァイは抱き締めていた手をそっと離しエミを真剣に見て

「お前の父親が俺の補佐役だったからだ」

「!!」

目を見開き驚いてリヴァイを見つめ返す。

「だがこれはお前の父親に対する罪滅ぼしではない。
俺にはお前が必要だ。
だからお前を補佐役に選んだ」

それを聞いて彼女は号泣した。

そして再び抱き締め、リヴァイはエミが泣き終わるまでずっと抱き締めていた。
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