第3章 ✡〜ライバル多過ぎるかな?〜
「あ、恵愛さんだ。」
ワタシに気づくと、刹那に目を丸くして手を振ってきた。
声をかけてくれたのが泣きそうなほど嬉しくて、
瞬時に手を振りかえした。
…一瞬、ぱぁっと表情を明るくなって見えたのは、きっとワタシの痛い妄想。
(どうしよう、気づかれてしまった。
同じ場所で二度も遭遇するなんて、ストーカー行為だと思われたかな⁈)
色んな意味でドキドキと心臓が脈打った。
感情が交じり合って心臓埋め尽くされた。
「き、奇遇だね空汰くん。ワタシも今帰るところで…」
どこか不自然な台詞で、ぎこちない感じの口調になった。
「ん、そっか。俺に会いに来てくれたのかと思った。」