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ハイキュー 〜約束を果たすまで〜

第7章 コート上の王様


ほのぼのとした空気もここまで。
月島の飛挑発は、度を超えていく。
繰り返し『王様』と、飛雄にとってのNGワードを連発する。
ーどうして、こんなに辛そうな顔をするんだろう。ー
普段、自信に満ち溢れている分歪んだ顔が印象的に残る。
「月島君、嫌がってんだからやめろよ。」
このまま止めないままでは、いつまでも月島の挑発が続く気がした。
月島は、依流を軽く睨みつけると不敵の笑みを浮かべた。
そして、飛雄を元へと歩いて行きなにやら耳元で呟いた。
「…県予選の決勝、見たよ。」
その瞬間、飛雄の顔が強張った。
さらに月島は、飛雄の心を抉る。
「あ〜んな自己チューなトス、よく他の連中我慢していたよね。僕なら無理。あぁ、我慢できなかったからああなったのか。」
飛雄の脳内は、もはや過去の記憶に囚われていた。
トスを上げた先、そこに誰もーー。
悔しくて悲しくて痛くて、思わず月島の胸ぐらを掴む。
余裕ぶってるあの目が、口元が憎たらしくて仕方がない。
しかし、今の飛雄には反撃する言葉は無く荷物をもちその場を去ろうとする。
怒りが頂点に達しているのは、なにも飛雄だけではなかった。
高い高い月島の、長い長い腕の先にあるボール。
地面を蹴る音と同時に、ボールは翔陽の手の中へと場所を移していた。
あのジャンプを初めて見る、月島と山口は驚きを隠せない。
「『王様王様』って、うるせぇっ!おれもいるっ‼︎試合で、その頭の上を撃ち抜いてやるっ‼︎」
こうして、戦いの火蓋は切って落とされた。
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