第7章 コート上の王様
中学時代の、痛い過去は頭にこびりつき中々離れない。
これが、俗にトラウマと言うのだろうかなどとぼんやりと考えていた。
今は、目の前の試合に集中しなくてはと思うほどあの光景が頭に浮かぶ。
レシーブもトスもスパイクも、全部俺一人がやればいい。
俺ならー。俺ならー。
試合中に、何度も俺ならと思った。
もっと速く、もっと高くもっともっと。
気持ちの焦りが、彼の思考を。
彼の視界を、奪っていくためもう彼の目には仲間は見えなくなっていた。
そして、トスを上げた先にはー。
誰もいなかった。