第1章 消えたのも 託された思い*
どこまでも続く闇。
「ここは一体…。」
闇の中、キラキラと輝く欠片。
欠片の断片に写る光景ー。
「これは過去のー。」
暗い暗い部屋に、一人の幼女が座っていた。
『いけないよ、外に出ては。いけないよ。』
誰かが呪文の様に唱える言葉は、紐の様に伸び私の体を縛っていく。
「そんな言葉に惑わされるな。」
闇の中で響く、優しい声の持ち主がそっと耳を塞いでいく。
振り返らなくても、声の持ち主はわかっている。
「詠流…?大丈夫なのっ??」
「ごめんな、一緒にはもういれないらしい。」
詠流は、私に絡みつく紐をほどいていく。
「そんな言葉言わないでよ…。わ、私のせいで…。そんな…。私…。」
「大丈夫だよ。俺は、そばにいるから。」
「なにか…。私に出来ることは…。」
「んー。じゃ、笑ってよ。別れの顔が、不細工な泣き顔じゃさイヤだからなっ。」
私は。目尻を拭きへたくそな笑みを浮かべた。
「うん、それでいい。…………、惑わされるな。」
そう言い残すと、光が広がり現実へと戻る道標と変わっていった。