第5章 単細胞生物
どうしたらいいのだろうか。
依流は、迷いのかなにいた。
体育館で感じた、暑すぎるほどの熱意。
「中途半端な私が入るだなんて…。それに、なんかみんなして怖そうな感じがするし…。」
ぶつぶつと呟きながら、街頭で照らされた道を歩く。
明日、入部届けを出さなければならない。
「おーい、詠流っ。」
聞き覚えのある声に、足を止め振り返る。
「菅原先輩、どうしたんですか?」
「いやぁ、話をしてみたくてさ。詠流は、バレーとか誰かに習ってたのか??」
「い、いえ…。習ったことはないです。」
菅原は、驚きを隠せなかった。
「本当か??だったら、すげーセンスいいじゃんっ!!どう?バレー部に入る気ない??昔は結構、人数多かったんだけどさぁー。」
菅原のにこにこと楽しそうに話す姿に、依流も思わず顔がほころぶ。
「俺なんかが入部して、迷惑じゃないですか?」
「そんなことないよっ!な、一緒にやるべっ。なんなら俺、基礎から教えてやろか?」
「ほ、本当ですか!あ、ありがとうございます。」
「じゃ、明日の朝…。6時くらいに体育館なぁっ!」
「は、はい。」
それから、菅原と他愛もない話をして別れた。
ー詠流、私頑張るねー
雲一つない夜空に向い、そう誓った。