第3章 桜咲く前に決める覚悟*
4月上旬。
まだ桜は、蕾のままであった。
依流は、見知らぬ宮城県の地にいた。
「詠流…。本当はここに、立っているは私じゃないんだよね…。」
冷たい北風が、頬を撫で腰まで伸びた髪が乱れる。
そんな依流に伸ばされる手は、ぐぃっと依流の腕を掴んだ。
「え…⁇」
「ねぇ、君はなにしてんの?」
背の高いガラの悪い、しかも3人の男に囲まれていた。
「いえ、あの…。散歩に…。腕を離してくださいっ…。」
うしろの方に立つ男が笑いながら答える。
「だぁめだよ。離したら逃げちゃうでしょ?」
「や、やめて…。」
依流は腕を引っ張られ、振り払うことが出来なかった。
そのまま路地裏へ。
引っ張られた腕は乱暴に離され依流は転倒してしまう。