第2章 終わりと始まり
点数は、一方的に取られて行く。
観客の目は、北川第一の『コート上の王様』に向けられていた。
それでも翔陽は、コート中を走り回る。
何度も何度も、手という壁に弾かれる。
彼の頭の中には、”小さな巨人”のビジョンが浮かんでいた。
1人の小さな憧れから、雪ヶ丘中学校の男子バレー部は始まった。
一人ぼっちで、練習する場所すらなかったの。
それでも。
つたないレシーブが、不安定なトスが彼の夢を繋ぐ。
そして、ボールは相手コートへと落ちた。
「最後まで追えよっ‼︎」
コート上の王様の、鋭く冷たい声が響いた。
コート上の王様は、つり上がった目で味方コートをにらめつけていた。
どこかその姿は、痛々しく孤独であった。