第2章 終わりと始まり
冬空のなか、寂れた商店街に響く声。
『まさに”小さな巨人”』
そう、テレビのアナウンスーが叫んでいる画面を、食い入るように見つめる少年がいた。
”春の高校バレー”全国大会。
戦っていたのは、隣町にある「烏野高校」だった。
身長190㎝近い選手が犇くコートの中を、黒いユニホームを纏い170㎝という決して大きくない身体で飛び回る選手がいた。
次々と得点を重ねるその黒い姿に、少年の身体は震えている。
明るい橙色の髪の小柄な少年は、この日偶然立ち止まりみた選手の姿・思いを忘れることはなかった。