第6章 与え、求め、受け取る(椎名翼)
『…………今どこ?』
「何で?」
『今からお前の所に行く』
「は?」
『今の名前はいつもの名前じゃない。何があったんだよ』
何で突っかかってくるんだよ。
関係ねーだろ、あたしの事なんて。
「何にもないしお前には関係ない」
『関係ある』
「ない」
『勝手に関係ないって決めつけんな!!』
電話の向こうから、叫びが聞こえた。
椎名は、本気で怒っていた。
『何?名前にとって僕は本音も言えないような仲だったの?そんなに僕の事信用できないの?こっちはな、お前だから、名前だから一緒にいるし、毎回毎回誘ってんだよ!名前が悩んでたり悲しんでたら、こっちまでそうなんの!勝手に枠作って関係ないって言うな!!』
どう返していいか分からなかった。
だが、椎名が本気で心配してくれている事は分かった。
だけど、本当に頼ってしまっていいのか。
気を許していいのかと、不安に駆られる。
あたしのプライドが、許そうとしない。
でも
それでも
今白状しないと、明日には椎名がいなくなる気がした。