第4章 憧れた人(ルナマリア)
この前遭遇した時が一番酷かった。
俺とステラで艦内を歩いていた時だ。
あの時は、二人仲良く歩いてたんだ。
でも、その途中、ルナと名前の声が聞こえた。
俺は嫌な予感がしたから、ステラにここで待つように言って、曲がり角の先をそーっと見てみた。
そしたら、ルナが名前の後ろから抱きついていた訳で。
まぁ会話の内容は、食事の誘いだったっぽいけど。
付き合ってもいない相手に後ろから抱きつくなんて、多分色気アピールだ。(だって、その………当たってる訳じゃん?)
子どもだったら、甘えたかもしれないけど、ルナはもう17だ。
多分甘えたじゃなく、アピールしてるんだと思う。
でも、あの人は色仕掛けなんか通用する相手じゃない。
恐らく、世間を一世風靡した”壁ドン”なんかも
「あ?恐喝する気かこのヤロー。甘ーんだよ!」
とか言いながら相手をボコボコにするだろう。
名前は、そんな人だ。
それでも、アピールし続けるルナ。
もうどこまでガチか分からない。
っていうか、ステラが見て変な知識を植え付けられたらどーすんだよ!!
と怒りに燃えながら、俺は待ってくれていたステラの所に行って、元の道へ引き返した。
同性の女にモテモテで。
カッコよくて、強くて。
同期のルナまで虜にして。
でも鈍感で、色仕掛けが通用しない。
俺が憧れた人は、そんな人。
END