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Dye D? 2

第34章 正体


みんなは横山の言葉を頷いて聞いていた。

ある事を思い出したように、安田が声をかけた。

安田「ちょっと待って、亮ちゃんゲストの血で興奮してたやん!
それはどうなるん?」


錦戸「おん、そうや、
あん時は人間の血の匂いやったで」


横山は鼻で笑った。


横山「ほんまに、やっかいな敵やったで。
その時は隠してた人間の血をつかったんやろ」


ゲストを睨むように言った。


横山「おおかた、その人間の身体をいただいた時から、
この時のためにその血を保存しておいたんやろ。
俺らに疑われんようにな」

横山の言葉に
誰も言葉を発する事が出来ずにいたが、
ゲストは声を震えながら話し始めた。

「もし、あなたの言うように私が犯人なら、何で私にはその記憶すらないの?
あなたの言う通り、子供の時の記憶もないのなら、
あなたが言っている事の記憶もないんです」

ゲストの言葉に村上が反応した。

村上「記憶がないて、なんやねん?
自分がした事すら忘れてるって事なんか?」

村上の問いに横山はゲストを見据えながら、答えた。

横山「ギリシャ神話にヤヌスって神がおるんや」

渋谷「ヤヌス?」

横山「二つの顔を持つ神や」

丸山「二つの顔.....」

横山「つまり、一人は俺らの前におるこいつと、
絵の中を動きまわってるもう一人のこいつが
おるってことや」

大倉「絵の中を....」

横山「この屋敷にある
マルの趣味で集めたマリアの絵の中を
動き回っとったんや。
何百年も前から、俺らの中で純血の子供が出来たのを知るためにな」

亮「大倉に子供が出来たから動き始めたんか」

横山「そう言う事や」

みんなの口からため息が漏れる

横山「こいつに記憶がないのは、
絵を移動する力を持つ魔女と、
身体は一つでも完全な別人やからなん」

丸山「なら、彼女は何のために....」

丸山は言葉を詰まらせた。

横山「俺らの意識を外に逸らすためと思うで。
実に頭のええ犯人やった。
二人でそれぞれ動いてるから違和感はあっても
しっぽを捕まえる事に苦労したわ」


ゲストは横山の言葉を俯きながら聞いていたが、
小さく身体を動かし始めたかと思うと気持ちの悪い声で笑い始めた。

「まさか、見破られるとはね」

そう言うと、ひたすら笑い続けたのだった。
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