第8章 親子
柚姫は、持っている本をペラペラとめくり始める。
「黒子、私の言った通りに発音してみてね?」
「?…分かりました。」
黒子は、不思議に思いながらもしっかりと頷いた。柚姫は、やがて息を静かに吸い吐き出して…口を動かす。
「Si riunisca alla luce.」
「…Si riunisca alla luce.」
そして、柚姫は発音を始めると黒子は不安な表情を見せてはいたが、柚姫の言った通りに発音し始める。
「Lasci sinter aprirsi in fronte.」
「…Lasci sinter aprirsi in fronte.」
すると、周りの異変に気が付く氷室。柚姫と黒子の目の前で、謎の光が集まり始めた。そして、よく見ると、華の形へと変化した。
黒子と氷室は、驚きながらその華を見る。その華の形は、睡蓮によく似ている。1つの睡蓮が宙に漂わせている。黒子は、その睡蓮に手を伸ばそうとしたが…柚姫によって阻止させる。
「黒子、触ちゃ駄目だよ。」
「…え?」
「何故、駄目なんだい?綺麗なのに。」
氷室は、柚姫に質問をする。氷室の言った通り、光で出来た睡蓮はとても綺麗に輝いている。それでも柚姫は、触るなと言う。
「まだ、術が終わってないよ。じゃあ、黒子続けようか。」
「はい。」
そして、柚姫と黒子は術の続きを言い始める。
「Esser sparso.」
「…Esser sparso.」
そして、目の前にあった光の睡蓮は、ドカンッ!と大きな音を立てて消える。