第7章 訓練
夕食の時間になると、優花と何人かの使用人は机の上に料理を並べていく。すると、光瑠は不意に柚姫にある本を渡す。その大きさは、B5よりも少し小さめだ。
その本は、茶色で少し古かった。柚姫は、不思議に思いながら受け取る。それと同時に、料理が全て並べられた。一斉に食べ始める。
柚姫は、一度口に食べ物を含め本を見つめる。
「あ、それ…書類室でついさっき見つけた。俺は、術専門じゃないから分からない。というか、読めない。お前ならいけるだろ?」
光瑠にそんな事を言われて、柚姫は本をゆっくりと開ける。其処に、1ページに書かれていたのは…『Arte di trasferimento』。
柚姫は、驚きながらその本を凝視しその後、光瑠を見る。残念ながら光瑠は、術専門ではないから意味や言葉が分からないが、柚姫の瞳を見て納得していた。
「まぁ…よく分からねぇが、お前に預けとく。詳しくは、後で聞かせてくれ。」
「分かりました。ありがとうございます。」
柚姫は、大切にその本を持つ。やがて、美味しそうに食べ始めるのだ。暫くして、夕食の時間が終わる。食事を終えた杲良は、とくに会話もなくリビングを出て行く。
紫原は、柚姫に近付いて言った。
「柚ち~ん、さっきの本…見せてくれない~??」
そう、紫原は柚姫の持っている本が気になって仕方なかった。柚姫は、どうぞ…と言ってから本を紫原に渡す。受け取った紫原は、本を広げるが首を傾げる。
「ねぇ~、室ちん。コレ、解る~?」