第3章 異世界
「妙なのだよ。」
「あぁ。人の気配とか人の姿が全くねぇ。」
緑間は、本日のラッキーアイテムである茶碗を片手に持ってそんな事を言っていると、隣にいる高尾は【鷹の目(ホークアイ)】を使いながら周りを見ていた。
「それより、お菓子ないの~??」
「こんな状況になっても、お菓子を求めるのか?敦…。」
空っぽになったお菓子の袋をパサパサと上下に動かす紫原に対して、氷室は冷静に周りを見ていたのだった。
「ここ、どこっスかーーーー!!??」
「うるせぇよ!シバくぞ!!」
黄瀬は、声を張り上げた事によって笠松に蹴りを入れられ転がる。シバいてるじゃないスか…と言いながら立ち上がる黄瀬。赤司は、ジャリと足を滑らして地面の様子を見ていた。
「征ちゃん?どうしたの?」
その赤司の様子に気づいた実渕。やがて、顔を上げる赤司は遠くの方を見て言った。
「人もそうだが…ここは建物が一切ない事だ。かなり、地面が荒れている。人が住める状態ではない。」
赤司の観察力が凄い事が明らかだ。地面が荒れているため、食べ物が育たない。荒れた地面、空は雲1つもない。そんな状況だ。
「とりあえず、街とか探してみませんか?」
「黒子の言ったとおりだな。いつまでも、此処にいるわけにもいかないみたいだからな。」
黒子の一言に、賛成をする赤司。じゃあ、行こうっス!といきなりテンションを上げて、黄瀬は皆の方を向く。だが、その時皆は何処か見ていて驚いていた。
「どうしたんスか??」
不思議に思った黄瀬は、皆に問い掛ける。すると、はっ!としたのか笠松は咄嗟に叫び出す。
「黄瀬ッ!あぶねぇ!後ろだッ!!」
黄瀬は、後ろ?と疑問に思いながら後ろを振り返る。