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異世界の住民【黒子のバスケ】

第6章 強さ


「真ちゃん、どうした?」

動きが止まった緑間を心配する高尾は、緑間の目線を合わせるように柚姫を見ると、高尾も言葉を失う。

その理由は、柚姫の顔だ。柚姫は、今でも泣きそうで苦しげな表情を浮かべている。だから、2人は黙ってしまったのだ。

「さっきの女の子の言葉に、何も言えなかったな。ちょっと、私にとってはきつい言葉だった。」

柚姫は、そんな事を言いながら湖に近付き、腰を落とし右手を湖に浸ける。とても綺麗で冷たい。柚姫は、いくら泣きそうな顔でも泣こうとはしない。

涙を流さない。柚姫…本人は泣こうとは思っていない。泣いても仕方ないと思っている。柚姫は、チラッと2人を見る。

「2人揃って黙っちゃってどうしたの?私なら大丈夫だよ。」

柚姫は、苦笑しながら2人に言うと、緑間は眼鏡をクイッと持ち上げる。

「大丈夫という問題じゃないのだよ。辛かったら、泣けばいいのだよ。」

緑間から泣けばいい、という言葉を聞いた柚姫は驚いていた。だがやがて、柚姫は泣くどころか、クスと笑うのだ。

「ありがとう、今の気持ちだけで充分だよ。」

柚姫の表情が一気に変わる。先程の笑い方とは違い、誰もが可愛いという程の笑顔を見せる。緑間と高尾は、その笑顔を見た瞬間、固まる。

固まった2人を見る柚姫は、首を傾げすぐに表情を戻す。

「どうしたの?本当に?」

「ううん、なんでもねぇよ!というか、今、すげぇー可愛かった!!なぁ、もう一回笑ってよ!真ちゃんだってそう思うよな?」

「な、何故、俺に同意を求めるのだよ!!」
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