第6章 強さ
「確かに、今は戦える者が必要。だが…異世界の奴に任せる訳にはいかない。話によれば、お前らの世界は平和だ。そんな奴らに、武器を持たせられるか。」
やはり、光瑠の言葉はきつい。
光瑠は、異世界の住民である黒子達、更に言えば黒子達は武器なんか持ったことはない。
だから、光瑠は許可を出さない。いや、出せないのだ。
「私達は、平和で暮らしてきた貴方達だからこそ、貴方達の手を汚したくない。そんな想いがあります。」
柚姫は、真剣な瞳で黒子達に言う。やはり、柚姫も同様に賛成はできないみたいだ。けどな…と言葉を漏らす火神。
「俺達は、それで納得すると思うか??」
火神は、2人に問い掛ける。やはり、黒子達も引かない。光瑠と柚姫は、元から分かっていたかのような表情をする。いや、もう分かっているんだ。
カタ…と椅子を音を立てて立ち上がる光瑠は、僅かに口元が笑っていた。やがて、黒子達に背を向けて言う。
「お前らの意志、ちゃんと受け取った。少しだけ俺に時間をくれ。答えは、はっきりと出す。午後には伝える。俺は、他にもやることがあるから先に失礼する。行くぞ、賢次。」
今まで、光瑠の隣で立っていた賢次に声を掛ける。賢次は、ペコリと一度頭を下げる。
「かしこまりました。」
光瑠と賢次は、先にリビングを出て行く。柚姫は、その様子を見ていたのだった。やがて、リビングに残ったのは、黒子達と柚姫、そして洸汰だ。
「守りたいという意志…想いが伝わってきました。お兄様に、暫しの時間を与えて下さい。」