第5章 守る者達
「あれ?皆、どうしたんだ?って…もうそんな時間か…。」
光瑠は、いきなり呑気な事を言い始めたのだった。光瑠の横で立っている柚姫は、クスクスと笑う。柚姫の顔色は、昨日と比べて良くなった。
「皆さん、おはようございます。」
ペコリと頭を下げて黒子達に挨拶をする。それに吊られたのか、黒子達も挨拶をする。すると、遠くからドタバタと走ってくる音が聞こえてきた。
その正体は、賢次達だった。その様子から光瑠と柚姫は、苦笑を浮かべる。
「光瑠様、姫様。あれほど言った筈です。勝手に、討伐をしてはいけません…と。もしもの時は、どうするつもりですか?」
賢次は、怒鳴ってはいないがかなり怒っている様子。そう、2人がいなくなった理由は、突然変異の討伐でいなくなったのだ。
光瑠は、アハハ…と力無く笑う。光瑠の予想以上に怒っていると、思っていたのだ。だが、急に光瑠は真剣な瞳をし賢次を見る。
「それは、悪いとは思っている。だが…俺はお前達に無理はして欲しくはない。俺や柚姫は、元々術が使えるなら話は別だ。賢次や洸汰が、元々術が使えない奴が、使えるようになるのは凄い事だ。だがな…。」
「元々、使えない人が使うというのは、身体や精神的にも負担が大きい筈です。それを回復するのは、睡眠だけです。私やお兄様は、その睡眠を邪魔はしたくないのです。」
柚姫も真剣な瞳で、賢次達を見る。そう、この世界は、生まれつき術を使える者は何人かいる。