第5章 守る者達
「ん~?ちょっと、トイレに行ってくるだけだし~。」
紫原は、赤司にそんな事を言って扉を開け部屋を出て行く。やがて、バタンと扉が閉まる。さて…と改めて声を出す赤司は、腕を組んで皆の方を向く。
「さっきの黄瀬の話だが、俺は別に構わないと思う。」
赤司の賛成に驚く皆。青峰は、ゴロゴロとしていた体をガバッ!と起き上がらせる。目を見開いていた。
「赤司…それ本気なのか…??」
「だが、リスクが大き過ぎるのだよ。命を捨てるような物なのだよ。」
反対はしていないが、黒子達にとっては戦闘は初めてで、今までない事だ。黒子達の世界は、広く平和だ。勿論の事、武器には一度も触った事はない。あるとしても、ゲームセンターにある玩具の銃などしかない。
だが、この世界は武器は本物だ。斬れば死ぬ、撃たれても死ぬ。ましてや、相手が突然変異をした生き物の為、毒や噛みつかれてしまえば、命が簡単に無くなる。
「ですが…僕達の意見は別として、光瑠さん達が許可を出してくれるかは…。」
「それもそれで、また別の話っスよね…。」
そう黒子の言うとおり、黒子達が全員戦う事を決意した所で、光瑠達が許可を出すとは思えないのだ。
「許可は別の話として、お前達はどうする?俺は、この戦闘に参加するつもりでいる。」
赤司は、皆の意見を聞きながら自分は参加するという話をする。黄瀬は、ふっと笑う。
「勿論、俺は最初から決まってるっスよ!柚姫っちを守るんスよ!」
黄瀬の瞳は、迷いない真っ直ぐなものを表していた。
「マジかよ!?黄瀬!というか柚姫って、誰だよ?」
「馬鹿め。柚姫とは、恐らく俺達を助けてくれた姫様の名前だろう。」