第5章 守る者達
洸汰は、自分のポケットから小さなハンカチを取り出して、柚姫の頬に伝わる汗を拭き取る。
「洸汰、自分でやるよ。」
「俺にやらせろ。ホント、心配かけさせるなよ…。」
洸汰の言葉を聞いた柚姫は、黙り込む。洸汰の瞳は、ゆらゆらと微妙に動いていた。洸汰は、本当に柚姫の事が心配で仕方ないと分かる。
更に言えば、洸汰の声は震え弱々しかった。柚姫は、洸汰に聞こえないように、ありがとう…ごめんね、と呟いていたのだ。その時、柚姫の部屋の扉からコンコンッ…とノック音が聞こえてきた。
「姫様。デザートをお持ちしました。」
扉の向こうから優花の声が、聞こえてきた。そう、先程、優花が言っていたデザートを持ってきたのだ。洸汰は、柚姫の耳元で囁くように言う。
「そんじゃ、俺は部屋に戻る。何か合った時呼べよ?」
「…了解。ありがとう…。」
柚姫は、クスと笑う。洸汰は、一度柚姫の前で、お辞儀をしその場から離れる。それと同時に、柚姫は優花を部屋に入る許可を出す。
優花と洸汰は、入れ違いで部屋に入る。洸汰は、軽く優花にペコっと頭を下げ部屋を出るのだった。優花も、軽く頭を下げる。
そして、部屋に入ってくる。それもトレイを持って来て…。優花の自信作の1つのデザートを持ってきたのだった。
そして、賢次に案内されている黒子達。部屋の分け方は別として、一部屋5~6人で分けるらしい。