第5章 守る者達
光瑠もリビングを出て行くのだった。賢次は、やがて黒子達に向かって言った。
「それでは、ご案内します。私に付いて来て下さい。」
そうして、黒子達は賢次の後に付いて行ってリビングを出て行く。リビングに残っているのは、杲良だ。歯をギリギリと噛み締め、悔しそうな顔をする。手は、力強く握り締める。それも、血が出るぐらいの…。
「許さん…。何故、僕が頭首じゃない……。」
杲良の声を聞いた者は誰もいない。杲良の瞳には、怒りという文字しか写していなかった。
一方で、先に部屋に戻ってきた 柚姫と洸汰。ふぅ~…と息を吐いてベットに座る柚姫。毒によって、顔色は悪く更に言えば、柚姫の頬に伝わる汗の量が凄かった。
「姫様、我慢をするからこうなるんですよ!」
洸汰は、少し荒っぽい声を出しながら柚姫に注意をする。えへへ…と力無く笑う柚姫。それでも、洸汰に微笑みかけて言った。
「今、敬語いらないよ。同い年なんだからさ。誰もいないからね。」
そう、洸汰と柚姫は同い年。柚姫との身分の差で敬語を使ってしまう洸汰。柚姫は、同い年なのに敬語を使ってくるのが嫌で仕方なかった。
そこで、柚姫は洸汰とある約束をするのだ。誰もいない、そして2人の時は敬語を使わない約束を…。それが今の状況だ。
「分かったから、本当に無理しないでくれ。俺の心臓が持たん!」
「うん、ごめんね。一応、毒は抜いたけど、まだ残っているみたいだね。」