第4章 唯一の国
賢次は、静かにそんな事を言い始める。そう、相手は突然変異だ。急に、体質が変わってもおかしくはない。あ…と声を漏らす柚姫は、自分のポケットから例の石を取り出す。
それを、光瑠に渡す。勿論の事、光瑠は不思議そうな表情を浮かべながら受け取り、その石を凝視する。
「この石がどうした?」
「その石は、ゴリラの突然変異から取れた物です。剣や刀の刃が一切通じない石です。」
柚姫の言葉で、光瑠は目を細めその石を睨み付ける。
「刃が通らなかったって事は…お前は術で倒したんだな?」
「はい、正確には術を発動させ石を破壊し、中身は刃で倒しました。」
光瑠は、そうか…と返事をしてその石を光瑠が預かる事になった。この石を研究する人に渡すみたい。
「止めてくれよ。僕の前でそんな話をするのは…。不愉快じゃないか。」
杲良は、不機嫌な表情を浮かばせながら料理を食べている。柚姫や光瑠は、目つきが一気に変わる。睨み付けるように見るのだ。
杲良は、ニヤリと怪しい笑みを浮かべながら柚姫を見る。その瞬間、ゾワ…と一気に鳥肌を立たせる柚姫。それでも、表情を変えない。
「叔父様には、分からないでしょう。命懸けで戦っている者達を…。」
「あぁ。分からないな。でも、君だけが生きていてくれるなら…。」
そう言って杲良は、柚姫に手を伸ばす。その瞬間、動いた。優花は、銃を取り出し杲良のこめかみに銃口を向け、洸汰は杲良の首に、刀を突き付ける。