第4章 唯一の国
柚姫は、微笑みながらコクリと頷く。構わないという意味なのだ。だが、柚姫の顔色は相変わらず悪い。その時、ガチャ…とリビングの扉が開く。
其処には、杲良の姿があった。柚姫と光瑠、それに賢次、洸汰の表情が強張る。4人は、冷たい瞳で杲良を見る。黒子達すら分かる。いきなり空気が重くなった事を…。
「夕食の時間だから来たら、よく分からない人達と食べるのか?僕は、反対だ。」
「俺が決めた事だ。それに、柚姫の客人だ。叔父上の意見は、俺は聞き入れない。」
光瑠は、睨み付けるように杲良を見る。杲良は、顔を歪めて自分の席に座る。それも、光瑠と柚姫の間の席。
「なぁ、真ちゃん…。仲悪そうだな…。」
高尾は、隣に座っている緑間に話し掛ける。
「見れば分かるのだよ。とくに、あの2人の間は、ピリピリ状態なのだよ。」
緑間が言ったあの2人とは、光瑠と杲良だ。そのタイミングで、リビングの扉から失礼します…という声が聞こえる。どうやら、夕食の準備が終わって運んで来たみたいだ。
他の使用人や優花は、料理を机に並べ始める。料理は、とても鮮やかでとてもいい匂いを漂わせる。
「やべぇ~…旨そう……。」
涎が出そうな勢いで、料理を凝視する火神。全ての料理が、机の上に揃った時他の使用人は、リビングを出て行った。
「今日も、旨そうだな…。そんじゃあ、頂きます。」
光瑠は、そんな事を言って料理を食べ始めるのだ。そして、黒子達も食べ始める。