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異世界の住民【黒子のバスケ】

第4章 唯一の国


袖を捲る柚姫は、その時僅かに声を漏らし顔を歪める。その事に気がついた黄瀬は、今でも泣きそうな表情を浮かべる。

「ご、ごめん…。俺を庇ったから、怪我を負わせてしまったス…。」

黄瀬の弱々しい声に反応をみせる。柚姫は、クスと笑い首を左右に振る。

「気にしてないよ。後悔もしていない。私が決めて行動しただけだよ。貴方の責任ではないよ。」

「それでも、俺が嫌っスよ!歳が近くて…まして女の子に守られて……俺…格好悪いっスよ……。」

黄瀬は、苦しげな表情を浮かばせ柚姫に訴える。その黄瀬の言葉を聞いている柚姫は、黙っていた。柚姫は、ベットに移動してその場に座ると、隣においで…と黄瀬に声を掛ける。

黄瀬は、驚きながらも柚姫の隣に座る。柚姫は、左手に集中させ緑色に光らせる。その現象に、驚く黄瀬。柚姫は、光っている左手を怪我している部分に、軽く重ねるように近づかせる。

この方法が、柚姫なりの治療法だ。その時、柚姫は黄瀬に向かって静かに言った。

「格好いい、格好悪いという問題じゃないの…この世界は……。お互いに、協力をしていかないと、生きていけない世界…。」

「生きていけない世界……。」

黄瀬は、呟くように柚姫が言った言葉を繰り返して言う。柚姫は、そうだよ…と優しく黄瀬に呟くように言う。やがて、柚姫の左手の光は段々と小さく消えていく。

左手が、右腕から離れた時には血が流れていなかった。恐らく、傷が塞がったと思われる。しかし、それでも傷跡は残っているみたいだ。
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