第4章 唯一の国
黄瀬の瞳には、強い意識を感じ取る柚姫や光瑠、そして…賢次。光瑠は、ふっ…と僅かに笑い黄瀬の方向を向いて言った。
「いいぜ、俺が許可する。それに、柚姫を1人にさせるわけにもいかないしな…。柚姫、リビングな?」
「了解しました、お兄様。行きましょう。」
柚姫は、黄瀬に声を掛けると黄瀬は、はいっス!と返事をして柚姫の後を追いかけるように歩いていく。光瑠は、そんな2人を見届けた後、残っているメンバーに話掛ける。
「色々話たい所だが、とりあえずリビングに移動しよう。其処で、お互いに話合おうか。」
光瑠は、それだけを言って歩き出す。賢次は、此方です…と静かに言って黒子達に案内を始める。
一方で、柚姫に案内されながら部屋に着く。部屋の扉を開けると、やはり柚という事だろうか…部屋は広い。それだけではない。
長いソファーに、高そうな机や椅子。何より黄瀬が驚いたのはベットだ。男、3人は寝てもまだ余裕がありそうな広さだ。パチンッ!と指を鳴らす柚姫は、急に部屋が明るくなった。
「す、凄いっス…。」
黄瀬は、思わず感動の言葉を漏らす。その言葉を聞いた柚姫は、クスと僅かに笑う。そこで、柚姫は黒いコートを脱ぐ。黒いコートに、血がべっとりと染み込んでいた。
それを見た黄瀬は、思わず黙り込んでしまう。明るくなったせいか、柚姫の右腕や右手は、赤という一色が目立つ。未だに、血が止まる気配がない。
白の袖だった為、赤く染まって血が更に目立つ。