第3章 異世界
火神は、説明をしようと必死になる。しかし、何故か 姫様という事で敬語を使おうとした為、おかしな文章になる。その言葉を聞いた柚姫は、クスと笑う。
「なるほど、話が長くなりそうなので移動しましょう。此処は、危険過ぎる。ペガサスに乗るので、気をつけて下さい。」
「は?ペガサスだって?」
柚姫の言葉に、思わず口に出してしまった青峰。無理もない話だ。黒子達にとっては、ペガサスという生き物は本の世界でしか存在しないのだから。
柚姫は、口笛を吹くと空から何頭かのペガサスが舞い降りる。そして、ペガサスはそれぞれの主人の前に止まる。
「本物みたいね…。」
実渕は、そんな風に言って言葉を漏らす。確かに、黒子達にとっては初めて目にする。当然だろう。柚姫は、ペガサスの顔を優しく撫でる。ペガサスもそれに反応するかのように、柚姫に近づいて顔を器用に使い柚姫の頬を撫でるのだった。
「さぁ、移動しましょう。2人までペガサスに乗れます。空いている所に乗って下さい。」
柚姫は、皆に指示をしてさつきの方を見て微笑み優しく言った。
「女の子の場合は、私の方がいいですよね?一緒に乗りましょう。」
「いいんですか?ありがとうございます!!」
さつきは、喜んで柚姫に近付いていく。やがて、先にペガサスに乗った柚姫は、左手でさつきに差し伸べる。さつきは、その手を掴みペガサスに乗る。
そして、さつきは柚姫の腰に手を回ししっかりと掴む。柚姫は、しっかりと手綱を掴み指示を出す。
「先頭は、洸汰です。後方は、私が勤めます。」