第10章 恨み
やがて、料理が来て柚姫達は食べ始める。だけど柚姫の元気そうな表情をしていなかった。
黒子達も心配そうな顔をして、朝食を食べていたのだった。暫くしてから朝食を食べ終えた瞬間、青峰が柚姫に尋ねる。
「お前、元気ねぇーみてぇだけどどうしたんだよ?」
「…たいした事ないよ。何でもないよ。」
柚姫は、皆に心配を掛けたくないのか弱々しい微笑みを見せる。だけど、皆にとっては悲しそうな笑みに見えた。
「ふっ、君は一体何を見たんだい?僕に話してごらん?」
杲良は、不気味な笑みを浮かばせながら柚姫に手を伸ばす。その時、洸汰が動いた。だが、パーンッ!と高い音がリビング中に鳴り響く。
それも、洸汰が動く前だった。辺りは茫然となった。
「私に触るなッ!!」
柚姫の声がリビング中に響き渡る。鋭い瞳で、杲良に睨み付ける。柚姫が杲良の手を弾いたのだ。完全なる拒絶。
勿論、弾かれた杲良も茫然する。ハッと我に返った柚姫は、皆に一度頭を下げてリビングを出て行った。
「…姫様。」
洸汰は、呟くように言ってから追いかけようとした時、光瑠に引き止められる。
「行くな、洸汰。」
「しかしッ!」
「…1人にしてやれ。あの拒絶は、異常だ。俺も驚いているが…。」
引き止められた洸汰の瞳は、ユラユラと左右に僅かに揺れていた。光瑠の瞳は、悲しげな瞳へと変えていた。
すると、スッ…と椅子から立ち上がる実渕。